投資情報会社・フィスコが、株式市場の12月4日~12月8日の動きを振り返りつつ、12月11日~12月15日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は為替の円高と日本の金融政策への思惑が波乱誘因としてはたらき、週間で1123.65円安(-3.4%)の32307.86円と2週連続で続落した。週明け4日の日経平均は円高進行を嫌気し下落したのに続き、5日も米国のハイテク株安を受けて大幅安のなか3日続落となり11月14日以来の33000円割れとなった。6日は自律反発狙いの買いが広がる全面高商状に転じて日経平均は670円高と4日ぶりに急反発した。7日は日銀のマイナス金利解除観測が強まったほか中国経済への懸念が強まり、前日の上げ幅を帳消しとする下げとなり再び33000円割れに急落した。メジャーSQを迎えた8日はシカゴ先物安と円高基調を受けて日経平均は下げ幅を広げる展開の中、大幅続落となった。なお、メジャーSQ値は概算で32639.57円、日経平均の8日終値はこれを大きく下回った。
植田和男日銀総裁による7日の参院財政金融委員会での発言が、東京市場の大きなターニングポイントとなった。マイナス金利解除で政策金利をゼロ%にするかプラス圏の金利にするか、どの程度のスピードで利上げしていくかは「その時の経済・金融情勢次第」とする一方、「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言し、日銀のマイナス金利解除観測がにわかに強まった。
これまで、日本銀行のマイナス金利解除は当面先であり、11月以降米国では長期金利の低下傾向が続き、日銀の金融緩和政策終了の時期も先延ばしになるのではとの予想も生じていたところに、政策変更への思惑が強まり、これまでのシナリオが変更を余儀なくされた。これに伴ったポジションの変更を機関投資家は迫られることになったことで、為替の円高ドル安が急速に進み、日経平均は心理的な節目となる33000円台を割り込んだ。
8日の米雇用統計に続き、今週は米国で12日から連邦公開市場委員会(FOMC)、11月消費者物価指数(CPI)、13日にパウエルFRB議長会見、11月生産者物価指数(PPI)、14日に11月小売売上高と金融イベントと主要経済指標の発表が集中する。また、日銀金融政策決定会合が翌週18日、19日開催予定で、年末高ムードが霧散した東京市場は、神経質な展開が継続しそうだ。