定年後はのんびりと田舎暮らしをと考え、都心を離れる「地方移住」に憧れを抱く人も少なくない。しかし、自身も地方移住の経験があるファイナンシャルプランナーの高鷲佐織氏は、「事前の準備を怠ると失敗するリスクが高い」と警告する。高鷲氏は地方移住に関して「3つの勘違い」があると指摘する。
「まず“地方は生活費が安い”というイメージがありますが、決してそんなことはありません。寒冷地は光熱費がかさむし、自動車が必要ならガソリン代がかかる。地場産の生鮮食品が安いのは魅力ですが、意外とお金がかかります。都心よりも生活費が安く済むなどと考えず、節約する努力が必要になります」
2つ目は「田舎は静か」との思い込みだという。人が少なく、穏やかな毎日を過ごせるだろうと考えていると、期待を裏切られることになる。
「地方によっては祭りが多かったり、近所の付き合いが濃密だったりします。そうした想定をしていないと、地域住民とうまくコミュニケーションを取れずに、知らない土地で肩身の狭い思いをすることになりかねません」(高鷲氏)
3つ目は、「家族の認識」をめぐる勘違いだ。
「“子供たちも旅行気分で喜んで遊びに来てくれるだろう”などと安易に考えがちですが、最初は物珍しくて足を運んでくれたとしても、だんだんと疎遠になるケースも。また、夫婦で十分に意見を擦り合わせないまま地方移住を決めたことで、奥さんが不慣れな生活に参ってしまう場合も少なくない。家族でよく話し合うことが必須です」(高鷲氏)