期限内に手続きを済ませなければ特例は使えない
迅速に事を進めることも肝要である。遺産分割協議がまとまらず、「被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内」という期限内に相続税の申告手続きを済ませられないと、小規模宅地等の特例や配偶者が1億6000万円まで無税で相続できる「配偶者の税額軽減の特例」が使えなくなるのだ。
「10か月以内に遺産分割協議が終わらない場合、いったん『未分割の申告』をして、将来的に特例を使い直すこともできますが、複雑な手続きになるので専門家を入れなければならない。手間もコストもかかってしまいます」(山本氏)
相続税の申告期限までの10か月は、あっという間に過ぎていく。だからこそ、「遺族の手間を減らせる財産目録や遺言書を用意しておくことが大切」(山本氏)になる。残された家族が大きな税負担やトラブルに苦しまないで済むように備えておく──それが「幸せな生涯」の締めくくりには相応しいはずだ。
※週刊ポスト2024年1月1・5日号