66歳で初めてパソコンを購入してネット取引
だが、バブル崩壊で、1991年には資産は一気に2億円ほどまで激減。1995年の阪神・淡路大震災も重なり、投資とはしばらく距離を置いたが、2002年に再始動した。
「『インターネット取引』と出会ったからです。それまでは店頭の株価ボードを見たり、証券会社の営業マンの話を聞いたりして株を買っていました。でも、それだと約定まで時間がかかるし、営業マンも自分の売りたい株しか勧めてこない。一方のネット取引は効率的に売買できて手数料も安い。これは使わない手はないと、66歳で初めてパソコンを購入し、再び株投資を始めたのです」
以来20年以上にわたり、デイトレードを中心に株式売買を繰り返し、今の資産を築いた。売買額は毎月6億円分にのぼる。
デイトレードは短期的な売買を繰り返して利益を増やすことを目指すのが一般的な戦略だが、茂さんはむしろ「長期的に成長が見込める株」に狙いを定めるという。
「株は下がったら買う、上がったら売るが基本。私は日々これを実践しているだけですが、その中で何より重要視しているのは企業の決算内容です。『増収・増益・増配』をポイントに、売り上げが増え、利益も増え、利益が配当に回っているかどうかを見たうえで、いまの株価が割安か割高かをチャート(過去の株価の値動きをグラフ化したもの)から判断、分析する。チャートという目に見える指標を活用することで、失敗のリスクを減らせるわけです」
株は「博打」ではないと茂さんは力説する。
「“なんとなく上がりそう、下がりそう”といった勘に頼った売買では成功は望めません。株投資は日々の情報収集とデータ分析、勉強がものをいう世界。名の知れた株式アナリストや証券マンの言葉を鵜呑みにせず、疑問を持つことも大事な心得でしょう」