米寿を前に毎月6億円を動かすスーパートレーダーは「株は究極のボケ防止」と笑った。“日本のバフェット”と呼ばれる個人投資家の日常は、お金を増やすだけでなく、健康維持の参考にもなる──。【前後編の後編。前編から読む】
藤本茂さん、87歳、現役の専業投資家だ。株式投資で資産18億円を築いた茂さんは、初の著書『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』(ダイヤモンド社)で、68年に及ぶ投資歴の成功と失敗の経験、自身の投資術を余すことなく綴った。
2016年には脳梗塞、2017年には心筋梗塞を発症し、いまも心臓の冠動脈にステントが入っている。血圧も高いが、降圧剤は「頭がボーっとするから飲まない」という。茂さんの妻は「体に気をつけてといっても、まったく聞く耳を持ちません」と苦笑いするばかりだ。
デイトレにより朝2時起床、夜8時就寝という「早寝早起き」が日常になり、規則正しい生活リズムがもたらされた。
昼食は消化の良いうどん、早めの夕食も軽食で済ませることが多い。朝食後の散歩は平日40~50分、休日には2時間かけて勾配の厳しい神戸の坂道を歩く。
「ずっと座りっぱなしでモニターに向かう生活は体に良くないので、どんなに忙しくても朝の散歩は欠かさない。散歩のメリットは体力がつくだけではありません。たとえばコインパーキングを見て、最近よく車が駐まっていると思えば、その運営会社の業績をチェックする。また、貨物列車を見て、コロナ後の貨物輸送事情はどうなっているのかと考えることもある。街を歩くと投資のヒントがあちこちに転がっています」
こうした日常が脳を刺激し、大病を克服するタフな体を作ったのかもしれない。