2024年の日本市場の見通し
日経平均は2023年には25%以上もの上昇を遂げた。これは円安が大きく寄与したものだといえる。
とはいえ2024年は前述した通り、円高局面も想定され、そうなると、自動車や商社など大型主要企業にとっては逆風となる。
そして、日本においてはマイナス金利解除の議論が盛り上がっている。「金利のある世界」という言葉が注目される状況で、金融緩和も終焉に近づいている。“金利と株価はシーソーの関係”だという原則に則ると、これは株式市場にとっては上値を抑える要因となり得る。
その一方で、金利差以外の経済需給については、ドル高要因となる環境に変化はないことも念頭に置いておきたい。貿易収支の面では、Google、Apple、Amazon、Microsoft、Netflixといった米国のメガテック企業のサービス・製品が日本の日常生活にも根付いており、これらは米ドルの買い支え要因と言える。また、2024年に開始される新NISA(少額投資非課税制度)においても、日本の株式だけでなく、米国指数への投資を考える人も多そうで、これも米ドルを強くする要因となるだろう。
2024年に関しては日米金利差縮小が新しい材料と考えられることから、ドル円の為替相場を総合的に考えれば、緩やかな円高ドル安が想定される。
2024年の投資戦略
米国市場は2023年の終盤から見せた上昇相場を継続できる環境にある。それどころか、今既に出ている利下げ観測は、2024年の米国マーケットが2023年を超える上昇を後押しする材料にもなり得る。
そのため、経済のファンダメンタルズに素直に従うとすれば、米国の指数連動ETFを持つというのが、まず選択肢となるだろう。
一方で円高、利上げが見込まれる日本では、ファンダメンタルズの逆風を受け、真の企業の経営力が問われる1年となる。為替によって業績見通しが大きく変わる以上、海外売上比率の大きな企業に投資する際は慎重に銘柄の見極めを行いたい。そして、逆風を跳ねのけて十分な業績を出せる企業に絞った投資戦略を考えたい。
そうした点を踏まえると、昨今のAIブームを背景に、半導体セクターから銘柄選択を行うというのは、比較的安心感が高いかもしれない。
また、大口参加者の集う大型銘柄に為替の影響が大きく及ぶことを踏まえると、小型銘柄、かつ、日本国内を主なマーケットとしている銘柄であれば、為替の影響は軽微という仮説を立てることができる。さらに、有利子負債が少なければ、日本の利上げ観測による株価下落懸念も払拭できるだろう。