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国民年金の納付期間5年延長で年金受給額はどうなるか? 最悪のシナリオなら“損益分岐点は82才”で男性の平均寿命超え

「国民年金の納付期間5年延長」の先に待ち受ける“最悪のシナリオ”とは?(写真:イメージマート)

「国民年金の納付期間5年延長」の先に待ち受ける“最悪のシナリオ”とは?(写真:イメージマート)

 庶民の生活苦をあざ笑うかのように、政府はお金にまつわる制度に次々と改悪を加えている。それは老後資金の頼みの綱である「年金」も例外ではなく、近い将来、2025年からは65才まで年金保険料を納めることになりそうだ。【国民年金の損益分岐点・全4回の第3回】

 将来の年金水準の見通しを示す「財政検証」が今夏にも行われる予定で、現在、それに向けて「国民年金保険料の納付期間を5年延長する」という案が検討されている。いま、国民年金は20才から60才までの40年間納付して、原則65才から受給開始となっているのは知っての通り。現行制度では月1万6520円、40年間で総額792万9600円の保険料を払っている計算になる。だがもしこの改定案が実現すれば「65才までの45年間」保険料を払わなければならなくなるのだ。

「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人代表の北村庄吾さんは「5年間でざっと100万円ほどの負担増になる」と説明する。保険料の納付期間が65才まで5年延長されることで、原則65才となっている受給開始年齢も5年後ろ倒しになり「70才から受給開始」になる可能性も大いにあり得ると、北村さんは言う。

15年後には最悪「年金2割減」も

「5年延長案」が実現される場合、最速で2025年からの施行になるといわれる。仮に施行時に50才だとすると、年金保険料を支払う期間は65才までの残り15年間。北村さんは、この間に年金の受給額が減らされる可能性を懸念する。

「年金額は『マクロ経済スライド』といって、物価や賃金の伸び率よりも低く抑える仕組みがあります。このため、物価が上昇し続ければ、年金が目減りするのは間違いない。実際、2024年度も年金額が0.3%目減りするという試算もあり、2年後には1%下がるとみられています。

 マクロ経済スライドは毎年平均して約1%(0.9%)減らす方針になっているので、いま50才の人が65才になるまでの15年間で少なくとも10%、つまり1割は物価に対する受給額は下がる計算になる。場合によっては2割下がる可能性もゼロではありません」(北村さん)

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