恐ろしいのは、納付期間が5年延長する話が出ているだけで、年金受給額がいくら増えるかの議論はこれからだということ。マネーコンサルタントの頼藤太希さんが言う。
「納付期間を延長したのに受給額がまったく増えないのは、さすがに国民の理解を得られないため、そうなる可能性はきわめて低い。ですがもしそうなった場合、約900万円を払って受け取れるのは年約80万円。65才受給の場合、損益分岐点は76才過ぎ(10年3か月後)になります」
さらに可能性は限りなく低いが、万が一「納付期間は5年間延長で受給額は増えず、受給開始は70才から」という“最悪のシナリオ”が現実のものになった場合、損益分岐点はなんと82才。男性なら、平均寿命を過ぎてしまう。
現在、物価の上昇率は2~3%ほど。頼藤さんは、物価は今後1~2%ほどの上昇率で上がり続ける可能性はあると指摘する。
「物価の上昇率も『複利』でどんどん上がっていきます。仮に年1%ずつ物価が上がり続けるとしても、15年間で16%は値上がりする計算になる。年2%が続けば、15年後には物価はいまより約35%も上がります」(頼藤さん)
もしそうなれば、10年どころではなく、いまより12年、13年長生きしなければ元は取れなくなるかもしれない。
【*本文中の年金保険料および年金額はすべて令和5年度の金額をもとに試算】
※女性セブン2024年1月18・25日号