すっかり一般的になった「推し活」という言葉。グッズ収集やライブ参加など、推しのためなら金と時間に糸目をつけない人たちもたくさんいる。一方で、当然ながら「推しは特にいない」人たちもいるのが現実だ。そうした人たちは、昨今の“推し活”文化の隆盛をどう見ているのか。そして推しがいない自分に何を思うのか──。
SNSを覗いたらファン同士で揉めていて怖かった
IT企業勤務の20代女性・Aさんは、「推しがいる人がうらやましい」と言う。
「同僚たちには男性アイドルや二次元・ゲームのキャラクターにハマっている人も多く、楽しそうに話をしています。ライブ遠征のためにお金を貯めたり、ロケ地を訪問するために旅行のスケジュールをたてたりするなど、推しが生きる活力になり、毎日が楽しそう。純粋に羨ましいです」
Aさんもそんな生活に憧れ、“推し”を作ろうと努力したことがあるが、想像していなかった壁にぶつかった。
「いろんな人から、その人の推しの話を聞くのは興味深いのですが、そこまでハマれるものがまだないというか……。でも、ある時、友人が推す男性アイドルについて少し興味がわいたので、彼のSNSアカウントやハッシュタグを覗いてみたら、ファンの熱量に圧倒されるばかり。
そのうち、推すだけじゃなくて、ファン同士で揉めているようなやり取りも目にしてしまい、ものすごく怖かったです。あと、“○○したほうがいいよ”みたいな、推しというよりは“押し付け”のような投稿もたくさんあるんですね。怖くなったし、無理やり推しを作ろうとするのも違うな、と思って、今は誰にハマっていることもありません」(Aさん)