医療費の「負担増」の流れが鮮明になっている。人生100年時代を生き抜くためには、賢く医療費の支出を抑える必要がある。病院の検査には「保険適用」と「全額自己負担(保険適用外)」の2種類がある。検査費を抑えるには、保険適用と自費の境界を知ることが大切だ。
例えば、同じCT検査を受けたのに約2万円かかるケースと約6000円で済むケースの境界は「自覚症状」や「病気の疑い」にある。医療経済ジャーナリストの室井一辰が語る。
「“呼吸が苦しい”などの症状があってCT検査を受けたい場合、医師の指示で検査を受けると保険適用になります。逆に症状がないのに“何も問題ないが念のため”と予防目的で人間ドックや健康診断のオプションでCT検査を受けると、保険適用外で全額自己負担になります」)
高額な検査ほど保険適用にするメリットは大きい。ごく微量の放射線を放出する薬剤を用いてがんなどを調べるPET検査は自費なら約10万円かかるが、医師の指示のもとに治療の一環として行なわれると保険が適用され約3万円に抑えられる。
一方で「検査したがる医師」には要注意だ。
「『新しい検査機を導入したので安心のために人間ドックを受けてみませんか』などと勧める医師は、検査報酬目当ての可能性があります。がんを調べる検査などは自費検査になりやすいので気をつけたい」(室井氏)
医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏が助言する。
「基本的に自覚症状も疑いもなければ検査は自費になります。そうした状況で医師に検査を勧められたら、『保険は適用されますか』と聞いて確認することです」