普段から防災グッズを準備しておく
次に重要なのが「寒さ対策」です。特に今回の震災でも分かりますが防寒対策を施し、「低体温症」のリスクを回避しなければいけません。
本来、車中泊はやむを得ずの避難であり、自動車自体も車中泊のために作られているわけではありません。しっかりとした防寒対策をせずに、冷え込む夜間を過ごすことは無謀です。
JAF(日本自動車連盟)が行ったテストによると、外気温が-10℃、オートエアコン25℃で車内温度を設定した状態からエアコンを切ると、30分ほどで車内温度は10℃ほど下がり、寒さを感じるようになります。テストの参加者全員はダウンジャケットにジーンズという服装で、毛布などの防寒対策を行わなかった一人のテスターはその後、手足の先から冷え始め「2時間40分ほどで耐えられない」という結果でした。この時点での車内温度は1.8度ですから当然でしょう。
同じ条件でもっとも長く耐えられたのは、冬用のシュラフ(寝袋)を使ったテスターでした。ただそれでさえも、朝方には顔や足が冷え、目覚めた時には快適という状況ではなかったと言います。
現実では、就寝中に寒くなれば、その都度エンジンをスタートさせ、エアコンを稼働させることになると思います。しかし、降雪時にエンジンを掛けたままで眠りに入ってしまうと、排気管が雪によって塞がれて一酸化炭素中毒を引き起こす危険性があります。また降雪の心配が無い地域であっても、ガソリンなどの燃料節約のためには、エンジンをかけっぱなしという状況は可能な限り避けたい行為です。被災地での燃料入手(BEVは充電)は困難を極めます。少しでも節約しておかないと、いざというときに動けなくなってしまう危険性があります。
そこで優先事項となるのは、できる限りエンジンに頼ることなく防寒対策を行い低体温症などの危険性を回避するか、です。もちろん普段から車中泊を楽しんで人であれば、それなりの備えもあるでしょう。しかし、車中泊になじみのない多くの人が、緊急時の車中泊を行うとなれば日常的に使用している寝具や防寒具、カー用品などを有効に使うしかありません。家の中にある防災セットと同じように、避難時のストレスを軽減するためには普段から備品を備え、少しでも快適に過ごせる工夫を考えておきたいところです。以下、主なグッズの活用術を写真とともに紹介します。