「倒壊した家屋での圧死が感覚として多い」──1月1日に発生した能登半島地震で、全体の約4割に当たる88人の死者(1月15日現在)が出た石川県輪島市の坂口茂市長は、被害を目の当たりにしてこう説明した。その言葉通り、建物の下敷きになって亡くなった人が大半とみられている。
では、どのような建物が倒壊するのか。能登半島地震で倒壊した家屋を見ると、瓦屋根の古い木造家屋が多い。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんが解説する。
「1981年6月に大規模な建築基準法の改正が行われましたが、それ以前に建てられた建物は“旧耐震基準”で、震度5強の地震を見据えて建てられています。それ以上の規模の地震は想定されておらず、巨大地震が発生すれば倒壊するリスクがあったのです。今回の地震で倒壊した家屋も旧耐震基準が多かったとみられます。さらに、瓦屋根の重みが倒壊を後押ししたと考えられます」
建築時期にかかわらず、1階部分がガレージの建物や、奇抜な形状の建物も危険をはらんでいる。関西大学社会安全研究センター長の河田惠昭さんが話す。
「木造住宅は特に横方向の動きに弱く、上から見て四角形の住宅なら同じ方向に揺れることで地震のエネルギーを分散できるが、L字型など複雑な形だと1点に力が集中してそこから倒壊する可能性があります」
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