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高校授業料無償化が「早々にドロップアウトする」子供たちを増やしている皮肉 都立高校の定員割れも毎年増加傾向

高校無償化を進めた「張本人」に聞く

 そもそも高校授業料の無償化は、2010年に民主党政権下で成立・施行した「高校無償化法(公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律)」から始まった。その推進役となったのが、当時、文科省副大臣で、現在、東京大学公共政策大学院教授などを務める元参議院議員の鈴木寛氏だ。無償化へ舵を切った理由は何か。

「1976年に発効した国際人権規約の13条2項には、『中等教育(中学・高校)は、すべての人に漸進的に無償にする(ただちに誰もが無償とする必要はないが、無償にする方向で政策を進める)』とあります。たとえば、アメリカは19世紀から、英仏は戦間期(第1次世界大戦と第2次世界大戦の間)から無償にしてきた。

 1979年に同条約を批准した日本ですが、実は13条の無償化部分については長年、留保していました。世界で同様の留保をしていたのはマダガスカルとルワンダと日本の3か国だけです(2012年9月、日本は留保撤回を国連事務総長に通告)。それで、私が文科省副大臣を務めていたときに、高校無償化の音頭を取り、就学支援金を交付する法を作りました。その意味では、私が“張本人”です」(鈴木氏、以下同)

 少子化対策や格差是正とは関係なく、無償で中等教育を受ける権利は国連が定めた“人権”の一つだった。世界では無償が当たり前で、日本はむしろ遅れていたという。しかし、前述の塾講師が指摘したような事態が起きることは想定していたのか。

「その塾講師の方が語った内容は事実だろうと思います。ただ、東京では授業料無償化がきっかけで起きたかもしれませんが、実は地方では東京より早く、同じような生徒の学業放棄が起きている。

 これは無償化ではなく、東京よりはるかに早く進む少子化による影響で、定員割れが広がり、受験勉強しなくても高校に入れるようになったからです。学力上位層は別にして、今はもう、入試を“脅し”に使って中学生に勉強させることができなくなっているのです」

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