鈴木氏が続ける。
「経済的な負担軽減・お金の話は有権者に伝わりやすいですが、そこばかりにこだわると、安かろう、悪かろうの教育になってしまいます。中間層以下の世帯の負担減はすでに実施しているので、今、必要なのは、高所得世帯の負担は維持して、政府・社会・企業から日本の高校・大学への投資をさらに増やすことです。
昨今、千葉県の柏の葉にできた『ラグビー・スクール・ジャパン』をはじめ欧州の名門中等教育機関の日本進出が相次いでいますが、こうした学校の教育の質は圧倒的です。教員一人当たりの生徒数や教育プログラムの内容や設備など、こうした学校が提供する教育の質に比べてあまりにも劣悪な日本の高校・大学教育の質を向上させることこそが最も重要です。学校への総投資額を減らすことで損をするのは将来世代であるということを忘れてはいけません」
中等教育を無償で受ける権利は“人権”であり、無償化そのものに問題があるわけではない。問われているのは、子供たちが自発的に学びたくなるような質の高い教育を実現できるかどうかである。
(了。前編から読む)
取材・文/清水典之(フリーライター)