この結束力は今後も様々な場面で発揮されるとみられる。ひとつが2025年開催予定の大阪・関西万博へのパビリオン出展だ。三菱グループ31社が総力を挙げて出展する。その背景を、月刊誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「高度成長期の大阪万博(1970年)でも登場した『三菱未来館』は当時、民間企業パビリオンとして最多入場者数を記録、大成功を収めました。この経験もあり、三菱は『1970年代の夢を再び』との思いが強い。万博を機にグループの結束力をより強固にし、世界に冠たる『スリーダイヤ』の名を知らしめたいとの狙いがあるのでしょう」
万博については中止論が懸念材料となっているものの、三菱グループにはそれとは別の大規模プロジェクトも控えている。
東京駅前の再開発プロジェクト「TOKYO TORCH」では、三菱地所が中心となり、完成すれば日本一の高層ビルとなる390mのタワーと7000平方メートルの広場を有する一大高層建築の開発が進められている(2027年開業予定)。プロジェクトには三菱地所の他、三菱電機やAGC、東京海上らグループ企業が参加。新たな「三菱村」を世界に向けた日本の玄関口にすると意気込んでいる。
スリーダイヤの輝きは、日本経済を照らす灯火となるか。
※週刊ポスト2024年2月9・16日号