学力上位の男子が中学受験を敬遠するトレンド
これはSAPIXに限ったことではない。他の大手塾の幹部も「増えているのは勉強が苦手な子たちです」とため息をついていた。
中学受験の受験者数もそろそろピークアウトし、今後は受験生が減っていくといわれている。
その中で、中学受験を取りやめていくのは、実は、学力上位層や中位層だ。反対に学力下位層は増えており、そういった生徒をターゲットにしている塾は鼻息が荒い。
2023年の受験組で、御三家に合格したのに、都立小石川や国立大学附属に進学する生徒も多かったという。2022年からの物価上昇で家計が苦しくなった家庭が少しでも学費を抑えようとした意図が見える。
「中学受験を撤退」というと、「成績が上がらず、中学受験に向いてないようだから諦める」というイメージだが、昨今では「男子の学力上位層は高校受験でも選択肢が多い。公立中学に進学して高校受験させた方がいいじゃないか」「うちは東大や医学部は狙っていない。早稲田か慶應で十分。それなら高校からでもいい」という判断をして、少しでも教育費を抑えようという層が出現している。
一方で、学力が高くない層の中学受験は増えている。理由としては、中学受験をさせる理由が変わってきているからだ。かつては「うちの子は学力が高いので、中学受験をさせて私立の進学校に入れた方が、自分に合った勉強ができる」という判断だった。
公立中学のカリキュラムは、学力上位層には合わないことも多く、それで苦労をするなら、中学から私立に入れた方が「親も本人も楽だ」と考えるわけだ。