生徒数が増えても御三家合格者数は横ばい
SAPIXは生徒数を増やしたが、それに比例して御三家の合格者が増えているわけではない。つまり、そこまで学力が高くない層もどんどん入ってくるのだ。
反対にいえば、生徒数を増やしても、あれだけの合格者数をキープしているのは「さすがSAPIX」といえるだろう。
ちなみに、SAPIXの4年生のテキストはそこまで難しい内容ではない。四谷大塚の予習シリーズと比べても解きやすい問題が多いようにも見える。しかし、4年生の段階で「SAPIXは難しい」と辞めていく生徒もいる。そこには塾選びのミスマッチがあるのではないか。
栄光ゼミナールが使用している「新演習シリーズ」は非常に分かりやすい説明が載っていて、問題も解きやすいテキストだ。この「新演習」は塾にも販売もしており、多くの個人塾や中小の塾でも使用している。予習シリーズが難しくて手に負えないと感じるならば、このテキストで対策をすればいいわけだ。
ただ、中学受験をさせる保護者の中には、「他人との差別化」が目的という人も多い。そうなると、トップブランドのSAPIXに入れたくなるわけだ。その結果、勉強が苦手な子たちがSAPIXのような難関校対策の塾に入り、保護者が「悲鳴」を上げることにつながってしまうわけだ。
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)では小説『ボリュゾっていうな!~ギャルママが挑む“知識ゼロ”からの中学受験ノベル~』を連載。