人生100年時代を迎えたいま、60才はおろか、70才を過ぎてからもバリバリ働くのが当たり前だ。昨年発表された総務省の調べによると、65才以上の就業者数は912万人と過去最多を更新。19年連続の増加で、その数は10年前の約1.5倍にものぼる。高齢者の就業率が右肩上がりのいま、シニア向け求人は多数あるが、だからこそ選び方を間違えると“働き損”にもなりかねない。
再雇用や再就職によって現役時代より給与が著しく低くなった場合は、「高年齢雇用継続基本給付金」が強い味方になる。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人代表の北村庄吾さんが説明する。
「給与が60才到達前の賃金の61%以下になった場合、下がった賃金額の割合によって最大15%相当額が支給されます。例えば60才前の給与が月50万円で60才以降に30万円になった場合、その15%分の4万5000円が受け取れる計算です」(北村さん・以下同)
ただし、給与が60才到達前の75%を超えている場合は対象外だ。さらに、これを受け取ると、年金が最大6%カットされる。
「働きながらでも年金は受け取れますが、厚生年金と給与の合計が月48万円(4月以降は50万円)以上になると、超過分の半分に調整が入り、支給されません」
例えば厚生年金が10万円なら、給与が38万円(4月以降は40万円)を超えると、年金が減額されるのだ。