「GAFA」から「MnM」へ
時価総額にしても売買代金にしても、なぜ不動のトップの座が入れ替わったのか、その理由は明らかです。先に紹介した7社の中でも、特にエヌビディアとメタが著しいパフォーマンスを見せています。メタに関しては、2月1日に公表された決算発表が大きな注目を集めました。
同社は2月1日の市場終了後に予想を上回る業績を報告し、さらには初の四半期配当を実施すると発表。これにより、市場の見方が一変し、あるアナリストは目標株価を550ドルへと大幅に引き上げました。これは、決算発表直前の終値から約40%の上昇を見込んでいるということです。
決算発表の翌日、メタの株価は前日比で+20.32%も上昇し、その日の売買代金ランキングで圧倒的なトップに躍り出ました。
さらに、アナリストの間では、今回の決算結果を受けて新しい造語が生まれるのではないかとの憶測が飛び交っています。その新たな造語とは「MnM」であり、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、そしてAI時代を牽引しそうなメタ(META)の頭文字を取ったものです。
少し前まではグーグル、アマゾン、フェイスブック(メタ)、アップルの4社が「GAFA」と呼ばれ、そこにマイクロソフトを加えた「GAFAM」という巨大IT企業群が米国市場の主役でしたが、いま投資家の目線は「MnM」の3社に移りつつあるようです。このことは市場の関心が「生成AI」に移行していることを改めて示しているのではないでしょうか。
2月後半に控える注目イベント
決算シーズンが進行する中で、「生成AI」への関心が一段と高まり、MnMグループの株価も勢いづいています。日本の市場に目を向けても、生成AIに関連する銘柄が注目され、「買わざるリスク」を意識する動きが見られます。
そうした中で、投資家が今後、注目すべき重要なイベントが控えています。それはエヌビディアの決算発表です。
エヌビディアは2月21日に本決算を発表する予定ですが、2月5日時点で予想PER(株価収益率)は80倍を超え、割高感が指摘されています。さらに、短期的な過熱感を示す相対力指数(RSI)が80を超えるなど、今の株価上昇がいつまで続くのか、注目を集めています。
エヌビディアは、生成AIという圧倒的なテーマ性と成長期待を背景に株価が上昇し、マイクロソフトやメタ、さらには日本の個別銘柄を含む多くの生成AI関連株の上昇を牽引してきました。
そのため、エヌビディアの決算発表とそれに伴う株価の動きがどうなるかは、市場全体に影響を与えるものとして注目されています。
決算発表は、単純に良い結果が出れば株価が上がり、悪ければ下がるとは限らない、複雑なものです。株価は事前の期待値と決算後の期待値の変化によって動くもので、特にエヌビディアのように大きな時価総額と流動性を持つ企業の株は、投機的な短期資金の流入もあり、予測が難しい面もあります。
「期待で買って事実で売る」という相場格言が示すように、決算後の動向には特に注意が必要です。どれほど注目されるテーマであっても、株価が過熱しすぎている場合、上昇局面が一気に反転することもありえます。短期的な大きな変動に巻き込まれる可能性が高い時期ですので、注意深く市場を見守る必要があるでしょう。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。