日経平均株価の高騰が続き、いよいよバブル崩壊直前の史上最高値(3万8915円)に迫ってきた。業績拡大の企業も続出し、さながら令和バブル前夜の様相を呈している。この先、あの1980年代の熱狂が再び訪れるのか──。日本中が狂乱の宴に酔いしれたバブル時代を見つめなおすことで、この国の未来が見えてくる。
1989年の「バブル」類似と相異
1月以降、日経平均株価が3万6000円台まで上昇し、近く4万円を突破するとの見方もあるなか、「1980年代バブルとの相似」を指摘する声が聞こえてきた。あの熱狂の“兆し”が、再び見え始めているのだという。
昭和から平成にかけて日本中が異様なまでに沸いたバブル景気のきっかけは、1985年のプラザ合意にあった。この年の9月、米ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5でドル高の是正が合意に至ると、1ドル=240円から120円台へと「ドル安・円高」が急加速。日本の輸出産業は窮地に追い込まれた。
危機感を募らせた政府と日銀は大規模な財政出動や金融緩和に乗り出し、市中に溢れたマネーが株式市場や不動産市場に集中。結果、株価と地価が膨れ上がるバブルへと突き進んでいった。
「日経平均は1989年末に3万8915円を記録し、日本全体の地価総額は米国全体の4倍。三菱地所がNYのロックフェラーセンターを買収するなど、海外資産を買い漁るジャパンマネーに世界が注目しました。国全体が異様な熱気に包まれていた」
そう振り返るのは、バブル時代に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)の行員だった作家の江上剛氏。
「当時は土地を買っては高く売る“土地転がし”が繰り広げられ、銀行では融資の申請書ばかり書く日が続いていた。稟議書の中身を精査することもなく、右から左に流れていく有り様でした。
銀行の定期預金金利は年6%まで上昇。財テクブームに乗って、株式投資に主婦も参入するようになりました」
あれから30年あまり。日経平均のみならず、不動産も首都圏の新築マンションの平均価格が3年連続で過去最高値を更新した。