老後の資産問題に詳しいフィンウェル研究所代表の野尻哲史さんは「平均寿命や健康寿命に関係なく、男女誰でも100才まで生きることを想定して、資産寿命を延ばすべき」と語る。
「自分が何才で死ぬかは誰にもわからない。寿命は『100才』とし、そのうえでお金とどう向き合うかをプランニングしましょう。“たとえ90才で亡くなったとしても、10年分のお金を子供や孫に残せばいい”と考えてください。無理やり資産寿命を引き延ばすというよりは、“100才まで資産を続かせるためにどうするか”を思案するのです」(野尻さん・以下同)
「正しい節約」なくして明るい老後はない
「資産寿命100才」をめざすにあたり、まず考えるべきことは「100才までの間、いくらお金が必要になるか」だ。いまの生活費がわかれば、おおよその金額を算出することは難しくない。
「個人差はありますが、定年後の生活費は現役時代の6~7割になると考えられています。その金額をいまから100才までの残り年数にかければ、おおよその必要額がわかるでしょう」
とはいえ、不足しそうだからといって極端な節約に走るのは厳禁。特に老後は、無理な節約は御法度だ。家計再生コンサルタントの横山光昭さんが説明する。
「確かに、資産寿命を延ばすためには生活費をコントロールして余計な出費を減らすことは重要です。しかし、寒さをがまんして暖房をケチったり、食費を削ったりして健康を害しては元も子もありません。節約するなら電気代や食費などの変動費ではなく、保険料やサブスクといった固定費から削る意識を持ってほしい。一度の見直しで大幅に出費を削ることができます」