【2】東急(9005)
私鉄最大の乗客数を誇り、鉄道、不動産、百貨店、ホテルなど手広く事業を行っているのが同社の特徴である。
2月9日に2024年3月期第3四半期決算を発表。前年同期比で営業利益+89%、経常利益+91.8%、最終益2.1倍、EPS2.1倍という大幅な成長となった。また、通期業績の見通しを売上、利益ともに上方修正しており、営業利益、経常利益において過去最高益を更新する見込みだ。
同社には、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業という4つの事業セグメントがある。業績躍進の理由は、ホテル・リゾート事業が営業収益で前年同期比で+31.6%の増収となっていること、交通事業が前年同期比で+202%の増益になっていることがポイントと言える。
ホテル・リゾート事業においては、東急ホテルズがインバウンド需要の回復に伴い大きく業績が向上しており、交通事業においては、鉄道・バス事業の輸送人員がコロナ後に大幅に増加、さらには交通運賃改定による値上げ効果も業績に寄与している。
コロナ後の人流回復、インバウンド需要の取り込み、運賃値上げによって、同社の業績はV字回復を見せている。今後の株価もまだまだ期待できるのではないだろうか。
【3】京都ホテル(9723)
京都の名門ホテルであるホテルオークラ京都、からすま京都ホテルを運営、ニチレイが支援しホテルオークラが筆頭株主となっている同社。2月14日に2024年3月期第3四半期決算を発表し、業績低迷を一掃するV字回復決算となった。
対前年同期比において売上は+29.1%、営業利益は前年赤字からの黒字転換、経常益は25倍、最終益は40倍、EPSは37倍と、同じ会社とは思えないほどの業績成長を見せた。また、今期の通期予想についても、従来予想を営業益2.8倍、経常益5倍、最終益5.5倍、EPS5.5倍という大幅な上方修正を行っており、経常利益で過去最高益を見込んでいる。
ここまで大きな上方修正を出すことになった理由として、同社は「想定を大幅に超えるインバウンド需要」を挙げている。同社は前年度まで、コロナ禍の影響で赤字決算を連続で出していたが、今ほどの人流回復、インバウンドの大幅増加は、同社の予想を大きく上回るものだったのではないか。
そして、人流回復やインバウンドの増加以外にも、注目したい点がある。そのひとつが、ホテルオークラ京都の中国料理桃李の「食べるラー油」である。2010年頃、いまほどSNSが普及していなかった時代にヒット商品となったが、再び脚光を浴びる可能性もあるだろう。そうした点も踏まえて、今後の業績成長と株価に注目していきたい。