田代尚機のチャイナ・リサーチ

【中国株に底打ちの気配】政策期待にくわえ春節期間中の消費拡大を好感、欧米系機関投資家の買い増しも明らかに

中国株に底打ちの兆し(Getty Images)

中国株に底打ちの兆し(Getty Images)

 この1年、下落相場が続いたハンセン指数だが、ようやく底打ちの兆しが見え始めてきた。1月22日に昨年来安値を記録した後、その下値を切り上げて推移している。2月19日は利益確定売りに押され下げたものの、春節休場明けの14日から16日にかけては3連騰している。

 リバウンドの主な要因としては、政策への期待が大きいだろう。地方政府が作成した融資支援に値する案件リスト(ホワイトリスト)に基づき、銀行が融資する(都市不動産融資協調メカニズム)といったスキームで、不動産開発投資を直接促すといった政策が1月末から始動している。第一弾のリストには、碧桂園、融創中国、佳兆業、遠洋集団など経営リスクの高い企業の案件も含まれており、資金不足が理由で開発がストップしている比較的質の良い案件などは、この政策で開発が一気に進みそうだ。

 2月5日から預金準備率が0.5ポイント引き下げられた。また、長期の最優遇貸出金利(5年以上)も2月から0.25ポイント引き下げられ3.95%となった。今後も、高い資金流動性が確保されるとみる市場関係者は多い。当局の経済金融政策、マクロコントロールへの期待が株価反転の原動力になっている。

 3月に入れば、4日に全国政治協商会議、5日には全人代が開催される。習近平体制では表面的な成長率の高さよりも成長の質が重視されるため、景気を大きく浮揚させるような政策は期待できないかもしれないが、少なくともこれ以上の不動産市場の悪化を防ぎ、景気を安定させるための政策方針ぐらいは示されるとの見方が強い。

 直近の景気の実態を知る上で、春節期間中の経済活動は重要な指標の一つとなるが、交通運輸部が伝えた2024年の春節期間中(2月16日までの22日間)の全国で地域を越えて移動した人の数は3億846万人・回で2023年の春節と比べ34%増えている。灯搭専業版によれば春節期間中(2月10日~17日)の映画チケット売上は80億5300万元(1675億円、1元=20.8円で計算)で過去最高であった2021年春節を超えている。

 海南省では、帰りのフリーの航空券が通常の10倍近くまで値上がりするほど旅行客で賑わいを見せており、美団が2月15日に発表した春節期間中の1日当たり生活サービス関連の消費規模は昨年と比べ36%増加している。

 不動産不況による影響、若者の失業率の高さなどを懸念する市場関係者もいるが、足元の消費は好調のようだ。

次のページ:機関投資家の買い増しが続々と明らかに

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。