田代尚機のチャイナ・リサーチ

【中国株に底打ちの気配】政策期待にくわえ春節期間中の消費拡大を好感、欧米系機関投資家の買い増しも明らかに

香港ハンセン指数の週足チャート(TradingViewより)

香港ハンセン指数の週足チャート(TradingViewより)

機関投資家の買い増しが続々と明らかに

 こうしたマクロ面での好材料に加え、テクニカル面でも買いやすい条件が整ってきた。

 ハンセン指数の2月19日終値は1万6155.61ポイントで、2018年1月29日に記録した最高値と比べると半値以下(48.2%)の水準だ。2月19日における市場平均PER(株価収益率)は9.97倍に過ぎない。過去10年間の平均は11.9倍、2023年の平均は11.34倍であり、割安感がある。

 日経平均株価は過去最高値近辺まで上昇しており、19日の市場平均PER(実績ベース)は18.26倍まで買われている。NYダウにしても、過去最高値近辺で推移しており、16日の市場平均PERは25.66倍まで買われている。

 欧米機関投資家の中国株離れが人気低下の最大の要因だろうが、最近になってそうした状況にも変化が表れつつあるようだ。

 中国関連株の空売りを盛んに仕掛ける投資家として知られているMichael Burryだが、その傘下のヘッジファンドであるScion Asset Managementの公告によれば2023年第4四半期にアリババ集団とJDドットコムを大幅に買い増したことが分かった。また、カナダ最大の年金ファンド(Canada Pension Plan Investment Board)は2023年第4四半期に新たにアリババ集団、理想汽車、JDドットコム、網易を買い入れている。そのほか、著名なヘッジファンド(Soros Fund Management 、Appaloosaなど)がアリババ集団を買い始めているようだ。ハンセン指数は足元では第4四半期よりも安い水準にあり、リターンリバーサル(逆張り)狙いの投資家を含め、潜在的な買い需要は高まっているとみられる。

 底打ちしたと確信が持てるほどの変化ではないが、長期投資を考えている若い投資家や、日米欧以外にも保有資産の幅を広げ、リスク分散を図りたい投資家にとっては、そろそろ中国株投資を検討してみてもよい時期に来ているのではなかろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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