【2】セル・イン・メイなどの株の季節性
特定の月に見られる株の季節性も指摘されています。まず、8月から10月は「植え付けの秋」とされ、投資の機会を探す時期と考えられます。
続いて、11月から1月は「満足の冬」と呼ばれ、この期間は市場が好調に推移しやすいとされています。2月から4月までの「収穫の春」は、先行して行った投資の成果を享受する時期です。そして、5月から7月の「不審の夏」は、市場が不安定になりやすく、相場の“最悪の6ヶ月間”の始まりと位置付けられています。
特に大きな下落は10月に発生しやすいことが知られており、1982年以降に発生した弱気市場の大半は、この10月に底を打っています。2023年後半の下落局面も10月に大底を打ちました。
このサイクル通りなら、現在、2024年2月は「収穫の春」の途中にあり、4月にこの期間が終了します。「セル・イン・メイ」という古くからの相場格言は、最悪の6ヶ月間が始まる5月に投資を手控えることを勧めています。6月や7月に市場から離れていても、大きな機会損失は少ないと言われています。
この季節性を利用した投資戦略では、秋に投資を始め、冬から春にかけての上昇を利用して利益を得た後、不安定になる夏の前に売却し、次の投資機会を待つことが、最適なアプローチとされています。
2つのアノマリーから考える最適な取引とは
ここまで、4年ごとの大統領選挙サイクルと1年を通じての株の季節性について解説しました。
これら2つのアノマリーを踏まえた場合、現在は大統領選挙の年の「収穫の春」に相当し、既に含み益がある場合は売却を考慮するに適した時期であると言えます。
次に最適な買い時とされるのは、中間選挙が行われる年の「植え付けの秋」です。これに基づくと、2026年の10月ごろが買い時となる可能性が高いと推測されます。
株価は様々な要因が複雑に絡んだ上で形成されるため、短期的な動きを予測することは難しいです。だからこそ、過去の傾向や確率を基にしたアノマリーを参考にしつつ、長期的な視点での投資計画を練ることが、合理的なアプローチと言えるのではないでしょうか。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。