旅客機パイロットは即座に穴埋めできない
というのも、パイロットの育成には時間がかかるためである。
機体の大きさや種類、用途に応じたライセンスの取得が求められ、旅客機の運航には定期運送用操縦士のライセンス必要だ。厚生労働省の就職情報提供サイト「jobtag」によれば、自家用操縦士の資格を取得した後、事業用操縦士、定期運送用操縦士の順に取得するのが一般的だという。
さらに、旅客機パイロットとして働くには国土交通大臣による航空従事者技能証明も受けなければならない。航空会社に入社してから所定の訓練を重ね、20代後半から副操縦士として飛行訓練を積んだ上で30代後半から40代前半にかけて機長に昇格するというのが標準的なコースとなっており、定年退職者が大量に出るからと言って即座に穴埋めできないのである。
パイロット不足対策はいろいろと講じられてきた。
航空大学校は2018年以降の入学定員を72人から108人に引き上げたが、効果が出るまで時間を要する。航空各社は外国人の採用に力を入れているが、航空需要は世界的に伸びており、簡単ではない。外国人の場合には流動性が激しく、採用しても定着するとは限らない。自前でパイロット養成を行う航空会社もあるが、経営状況によって実績にはバラつきがある。
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