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バンクシーが日本で標識に落書きアートを描いたら処罰されるのか? 弁護士は「管理する役所が柔軟な考えを持つかは疑問」

「落書き」か「芸術」か(イメージ)

「落書き」か「芸術」か(イメージ)

 全国各地で公共物などへの落書きが後を絶たない。しかし、著名なアーティストが描いたものならどうなるか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 今も気になっています。昨年暮れ、ロンドンでバンクシーが交通標識に描いた新作が盗まれた事件です。犯人が即日逮捕されたのは当然としても、いくらバンクシーでも、公共物にアートを施すのは問題ないのでしょうか。もし、日本でバンクシーが標識などに反戦アートを描いたら、捕まってしまいますか。

【回答】
 公共の建物や標識、あるいは私人の建物の外壁に、無断で絵や文字を描き、それが容易に消せない場合には、建造物損壊や器物損壊になります。損壊とは、物の本来の効用を滅失させたり、減損させる行為ですから、物理的に壊すだけでなく、外観や美観を著しく汚し、原状回復が相当困難になって、物の効用を滅失等させた場合にも「損壊」に当たります。

 街中で散見するペンキのスプレー跡を芸術と感じる人もいるかもしれませんが、大抵は建物や塀を汚し、街の美観を損ねる落書きだと評価するのが一般的な見方のはず。他に政治的スローガンの表記も含め、表現・言論の自由を主張する立場もありますが、私人の財産についてはもとより、公共財産を損壊する正当な理由にはなりません。さらにペンキなどを使った場合、簡単には元通りにできないので、建造物損壊罪や器物損壊罪となるため、処罰されます。

 水洗いすれば、容易に消去して復元できる場合なら、効用を滅失等することはありませんが、美観を損ねるので、落書きは『軽犯罪法』の「みだりに工作物や標示物を汚す罪」により、処罰されます。

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