総務省統計局の「家計調査」(2021年)によると、賃貸物件に暮らす単身世帯の平均家賃は1か月当たり5万854円。一方、大学生協の「第58回学生生活実態調査の概要報告」(2022年)によると、大学生の一人暮らしの平均家賃は1カ月あたり5万3020円。一人暮らしの家賃の目安は6万円以内に収まっている。
しかしこれらは全国の数字で、東京で生活する場合、家賃6万円以内の部屋を探すのは、なかなかハードルが高い。何とか都心に近くて、かつ家賃が安い街はないものか? ライターの金子則男氏が解説する。(家賃相場の数字は「ワンルーム・1K・1DK」のもの。ライフルホームズ調べ。2月22日時点)
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ここ数年、都内のマンション価格の異常な高騰ぶりが盛んに報じられていますが、その影響は一人暮らしの賃貸物件にまで及んでいます。2020年の時点では、家賃相場が6万円を下回る駅は23区内に2駅ありましたが(京成金町、舎人公園)、現在は1駅もありません。もちろんこれはあくまで相場なので、個別では安い物件もあるでしょうが、大前提として「家賃6万円以内」の部屋は23区外に出たほうが探しやすいということです。
都心までなるべく時間がかからない街を探すと、まず目につくのは東武東上線の朝霞(5.39万円)です。朝霞市は典型的なベッドタウンで、上京組には知名度が低いかもしれませんが、池袋まではわずか16分。急行が停まりますし、東京メトロ副都心線経由で新宿や渋谷に乗換なしで行けます。駅前は買い物が楽しめるぐらい栄えていて、一人暮らし向けの飲食店も充実しており、家賃相場が6万円を大きく下回っているのも魅力です。
若者に人気の路線では、小田急線の和泉多摩川がギリギリ6万円以内(5.94万円)です。隣駅(登戸)はもう神奈川県ですが、和泉多摩川はまだ東京都(狛江市)。下北沢まで15分、新宿まで24分、渋谷まで乗り換え時間込みで30分弱なので、都会生活を堪能できることでしょう。ただし駅前は少し寂しい印象もあるので、その点はご了承を。