2人に1人がかかる時代、「がん」は“身近な病気”になった。検査や手術、薬や予後についても状況は刻一刻と変化、進化している。知らないままでは誤った治療を受けてしまうばかりか最悪の場合、命にかかわる事態になる。診断されたその日のために、情報をアップデートしておこう。【進化するがん治療・全3回の第1回】
53.5%──これは今年1月に国立がん研究センターが発表した、2011年に「がん」と診断された人全体の10年後の生存率だ。部位や進行度の区別なく診断された人全体を対象とした調査だが、昨年度に発表された前回の調査結果よりも0.2ポイント高くなっている。
罹患者数が増え、2人に1人がかかる国民病として恐れられる一方、命を落とす人は少しずつだが確実に減っている。そのうえ、これはあくまで10年前に診断された人を対象としたデータであり、いま最新の治療を受けているがん患者の生存率は、さらに高まっていることが予想される。
ジャーナリストの村上和巳さんは、「現代においてもはやがんは『死の病』ではなくなった」と話す。
「部位や進行度によっては命にかかわる病気であることは事実ですが、新しい治療法が次々と出てきており、決して不治の病ではありません。また、かつては日常生活がままならなくなるほど大きかった治療に伴うさまざまな負担も軽減されつつあり、ある程度進行しても、高血圧や糖尿病と同様に治療を続けながら生活できるケースもいまでは珍しくなくなっています」(村上さん・以下同)
医療は日進月歩。とりわけがん治療を取り巻く状況は刻一刻と変化する。常識だと思っていたことが古い知識になっていないか、「もしものとき」のためにチェックしておこう。