いつの時代もお金にまつわるトラブルは絶えないが、ネット社会のいま、犯罪まがいの商法や個人間取引のトラブルも目立つようになり、消費生活センターには年間90万~100万件の相談が寄せられているという。
相談事例の情報発信や注意喚起を行う「国民生活センター」の飯田周作さんによると、現在トップの相談案件は「インターネット通販関連のトラブルです。特に、中高年以上の化粧品・健康食品の定期購入に関する相談が多いです」という。
それではインターネットがなかった時代には、どんな消費者問題が起きていたのだろうか──。いまにつながる、日本の消費者問題の歴史を紐解いてみよう。
1950年代、高度経済成長期に突入すると、世の中は経済活動を優先し、消費者の健康や生命が脅かされる事件が続く。全国で1万3000人以上の乳児が被害を受けた「森永ヒ素ミルク中毒事件」(1955年)、サリドマイド含有製剤の副作用により、世界で数千人、日本で約1000人の胎児が影響を受けた「サリドマイド事件」(1962年)などだ。飯田さんが解説する。
「こうした問題から消費者を守るため、1970年に特殊法人国民生活センター(2003年から独立行政法人)が設立されました」
次のページ:「うまい話はこの世にない」の啓蒙ポスターも