NISA(少額投資非課税制度)と並んで資産形成に役に立つ制度として知られるiDeCo(個人型確定拠出年金)。掛金が所得控除できるが、60歳まで引き出せないなどの制限がある。では、一度始めたiDeCoを途中でやめることは可能なのか。また、投資を続ける場合の運用方法についてはどのように考えればよいか。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが解説する。
* * *
先日、40代のお客様から「先日退職して、今後はしばらく休む予定だけど、5年ほど前に加入したiDeCoはどうしたら良いか」と相談がありました。「新NISAも興味があるけど、まだ始めていない」とのことで、使い分けについても悩んでいるご様子。退職後はしばらく専業主婦の予定とのことで、所得控除の恩恵を受けられないのであればiDeCoは続ける必要がないのでは……とお考えでした。ずっと仕事をしないつもりではなく、一休みしてまた就職する可能性もあるそうです。果たしてiDeCoは続けていくべきなのでしょうか。実際にアドバイスした考え方をお届けします。
目次
【1】iDeCoは原則やめられない
そもそも、iDeCoは一度始めたらやめるという選択がしづらい制度です。iDeCoの中途脱退は、次のすべてに該当した場合のみ対象となります。
・60歳未満であること
・企業型DCの加入者でないこと
・iDeCoに加入できない者であること
・日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
・障害給付金の受給権者でないこと
・企業型DC加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること,又は個人別管理資産額が25万円以下であること
・最後に企業型DC又はiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること
障害給付金を受け取ったり、なんらかの理由でiDeCoに加入できない人でない限りは、中途で脱退することは難しいことがわかります。しかし脱退はせずとも、手続きをすれば掛金の支払いを中断することは可能であり、その場合は「加入者」から「運用指図者」に変わります。
iDeCoに加入している人が退職したら、被保険者種別の変更手続きを忘れないようにしましょう。具体的には、自営業者となるのであれば「国民年金第1号被保険者」に、配偶者の扶養に入り専業主婦(夫)となるのであれば「国民年金第3号被保険者」となります。加入している運営管理機関や国民年金基金連合会のサイトより「加入者被保険者種別変更届(第1号被保険者用)」または「加入者被保険者種別変更届(第3号被保険者用)」をダウンロードして、運営管理機関に郵送して手続きを。手続きをしないでいると、掛金の拠出が停止されることがあり、後から払い込むことはできないため注意が必要です。