ネット検索で「それって必要?」「やっても意味ない」と反論
巧い人のマネをするのは上達の近道であるのは事実。それで子供が楽しんでいるなら、大人が口出しすることはないが、情報が多すぎることで、イヤなことはとことんやらない子供もいるという。学童野球コーチの前出・Mさんが明かす。
「練習では長距離走をしますが、『それって必要あるんですか?』『ダルビッシュが“走り込みは必要ない”と言っています』と、疑問を口にしたり、反論されたりします。素振りもできる限りやるように言っていますが、『鏡がないと正しいスイングが身につかない(から、屋外でやっても意味がない)』という子がいました。その他、ダッシュを『野球は何十メートルも全力疾走しない』とか、アメリカンノックについて『やっても意味ない』といった反論もありましたね……。
ネットで、自分が嫌いな練習メニューと『無意味』『デメリット』といった単語をセットで検索すると必ず何かヒットするので、それをアピールするのです。基本的には適当にいなして終わりですが、指摘されてメニューから外したものもあります」(Mさん)
一方で、サッカーコーチの前出・Kさんは、その点については“諦めて”いるようだ。
「私が学生の頃は監督の言うことは絶対で、体罰もあったような時代。でも今そんなことをすればアウトです。子供たちが自分勝手にプレーしたり、練習メニューに文句を言ったりするのは腹が立つこともありますが、危険がない限り、やりたいようにやらせる方が良いのかなと思うようになりました。
実際、リフティングなどは明らかに今の子供たちの方が上手です。トップ選手のプレーや最新理論をダイレクトに取り込めるのは、良いことだとは思います」(Kさん)
もっともそれは、Kさんに経験と実績があり、熱意もあるからできることなのかもしれない。Mさんのような“お父さんコーチ”にとっては苦難の時代のようだ。(了)