株価下落リスクゼロのつなぎ売りとは
優待はもらいたいけど、翌日の株価下落によるダメージを避けたい場合には「つなぎ売り」が有効です。これは、現物の株を保有しつつ、信用口座で同じ株を売るという、ちょっと特殊な方法です。以下、手順を紹介します。
【1】信用口座を開設する
現物の株を購入する証券会社で、信用取引口座を開設します。簡単な質問に答えるだけですので、それほど手間はかかりません。条件としては、株式投資の経験があるか、十分な資産があるか、などです。
信用取引口座では、最低30万円が入金されていないと取引はできません。権利付最終日の前日までに用意しておきましょう。
【2】権利付最終日の寄り付き前に、現物の口座で成り行き買い注文、信用取引口座で同株数の成り行き売り注文を出す
寄り付き前というのは、9時の取引開始前ということです。取引株数は、ほしい優待の条件によって何株でもよいのですが、買う株数と売る株数を同じにしましょう。
【3】翌日の寄り付き前に、信用取引口座で売っている株を現渡しで決済
現渡しというのは、現物で買っている株を、信用口座で売っている株の返済に充てることです。信用取引で売っている株は、買い戻さなくてはいけないのですが、現物で同じ株を持っている場合は、それを返済に充てることができます。
たとえば権利付最終日の株価が1000円だったとして、翌日株価が900円に下がった場合、現物の口座では100円の損失になりますが、上記の手順を踏めば、信用取引の口座では100円のプラスとなり、トントンとなります。優待の権利はちゃっかりもらいながら、値下がりリスクを避けられる「尊い」技です。
つなぎ売りの注意点
つなぎ売りをするには、その銘柄が空売りできる銘柄でないといけません。証券会社によって、できる、できないが異なりますので、まずは空売りできるか確認してください。注文画面で、売り注文の操作ができるようになっていれば、空売りできる銘柄です。
つなぎ売りには、株価変動のリスクはないですが、手数料がかかります。手数料が割高だと、優待をもらってもお得感が薄れますので、その点は注意が必要です。
【売買手数料(現物買いと信用売りにかかる手数料)】
SBI証券や楽天証券なら無料なのでお得です。
【空売りにかかる貸株料】
信用口座で売るためには、証券会社から株を借りて売る行為になります。そのため、株を借りている間の金利のようなもの。約定代金にたいして年率1%程度。
【逆日歩】
みんなが売りたい銘柄は、証券会社のストックでは足りないため、大口機関投資家からなどから、株を借りてくることになります。そのための手数料が逆日歩です。銘柄によって逆日歩は変わります。
【配当金受払】
現物株では配当金を受け取りますが、それとほぼ同額の配当金を信用口座で売っている分、支払う必要があります。つまり配当金についてはもらった分、支払うので収入にはなりません。
最近は、長期保有の株主を優遇するため、保有期間に条件をつけている優待もあります。その場合は、権利付最終日に買って、翌日売るといった方法では、優待品はもらえないので、事前に優待条件を確認しておきましょう。