誰も住まなくなった実家の対処に困っている人もいるだろうが、昨年末に施行された『改正空家法』により、実家を空き家のまま放置すれば大きな不利益を被る可能性が出てきた。同法の施行で何が変わったのか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
先日、続けて両親が亡くなりました。そこで気になるのは、両親が住んでいた一軒家。私には兄弟がおらず、仕事の関係上、自分の持ち家を手放せないので、このままでは空き家になりそうです。昨年、空き家に関する改正法が施行されたらしいですが、具体的にはどのような改正になったのか教えてください。
【回答】
昨年の12月に施行された『改正空家法』では、増加する空き家の対策を強化しています。
これまでは、放置すると倒壊などの危険性が著しい空き家等を「特定空家等」と定め、所有者に対して除却、修繕、立竹木の伐採等の措置を取るよう助言、又は指導し、改善されないときは勧告し、それでも正当な理由なく従わない場合、弁明の機会を与えた上で、これらの措置を命じることができ、命令に従わなければ、行政代執行(強制執行)されるだけでした。
ところが、改正法ではその一歩手前の状態の空き家を「管理不全空家等」として定義し、国交大臣が定める空家法基本指針に従った防止措置をとるように指導され、その指導に従わないと、勧告を受ける制度が追加されたのです。
この勧告を受けると、空き家所有者は、建物の敷地の固定資産税が大幅に増える不利益を受けます。
というのは、住宅の敷地には課税標準額を評価額の6分の1に減額する住宅用地特例があるのですが、勧告を受けるような建物では住居利用が難しいため、その敷地は住宅用地とはいえないからです。