まだ使えるものを無駄にせず最大限に活用する「もったいない精神」。ものを大切に使うのは良いことだが、どれくらい使うかという度合いは人によって異なる。そのため、本人の思いとは裏腹に、「貧乏くさい」「お金がない」などと誤解を受けてしまうこともあるようだ。
歯磨き粉のチューブを切る価値観を巡って…
メーカー勤務の30代女性・Aさんは、「使えるものは、余すことなく使い切る」という方針の家庭で育てられ、そのマインドを受け継いでいる。
「母は野菜の芯やクズを捨てず、スープを作ったりダシに使ったり、皮を干してお茶を作るような人。ケチャップやマヨネーズといった調味料、歯磨き粉やシャンプーの詰め替えなどもはさみで切って、中身をかき出すのが当たり前でした。私はそれが“普通”だと思っていました」
そんなAさんの中で“普通”の感覚がゆらいだのが、20代半ば頃に付き合っていた恋人からの何気ない一言だった。
「1人暮らしでも、実家にいた頃のように歯磨き粉や洗顔料が残り少なくなると、チューブを切って使っていたのですが、ある日、その光景を見た当時の彼氏から『貧乏くさッ!』とドン引きされました。
調味料のチューブも同じように最後まで使っていると、それについても『品がない』という言葉が飛んできて、ケンカになりました。別に彼に強要したわけではなく、私の家のものを私が使っているだけなのに……」(Aさん)
結局、この一件で関係にひびが入り破局したAさんはその後、別の男性と結婚した。「夫は、歯磨き粉や調味料を使い切るのを、『すごい!』と言って、むしろしっかり者だと思ってくれたみたいです。価値観の一致って大事ですね」と言う。