本や衣類、家電、家具などの不用品を手軽に売って換金できるフリマアプリが活況を呈している。モバイル分野のマーケティングを手がけるMMD研究所が、今春、全国の20歳以上の男女を対象に行なったアンケート調査によると、回答者6593人のうち「物を売ったことがある」と回答した人は65.4%で、そのうち35.5%が「フリマアプリ」を利用していた。「出品・購入のスムーズさ」と「使い方の分かりやすさ」が人気を集めるポイントのようだ。アプリを多用しているという30代主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
* * *
埼玉県在住の専業主婦、あやせさん(仮名・36歳)は、夫と5歳、3歳の息子の4人家族。自宅にある不用品を無駄にしたくないとの思いから、フリマアプリを利用していることを話してくれた。
「子育てが落ち着くまでは、専業主婦として家庭を守っていきたいと考えています。……とはいえ、夫の収入だけでは厳しいのが本音。少しでも家計の足しになればと思い、フリマアプリを始めるようになりました」(あやせさん、以下同)
あやせさんの出品するものは、ママ友から貰ったおさがりの子供服が中心。衣類の使用感などの理由から1枚だとあまり値が付かないことが多く、3枚ほどまとめて送料込み500円程度の値段で出品しているという。手元に残るのは100円にも満たないことも多々あるそうだが、そんな状況でもフリマアプリを活用し続けている。薄利多売する理由を聞いてみた。
「1回の出品での利益が100円以下であっても、お金はお金です。塵も積もれば山になると思っています。先日、貯めたお金を使って、3000円もするお取り寄せグルメを注文しました。こういったことがあると、薄利多売でも頑張った甲斐があったと思いましたね」
しかし、フリマアプリ活動に精を出しているあやせさんに対して、夫はあまりいい気分がしていないそうだ。
「コロナ禍の間、不要不急の外出は控えてきました。そのため、コンビニでの発送作業は夫に頼んでいるんです。10分ほど早く自宅を出れば、出社に影響することもないはずなのに、夫は『大した利益にもならないのに、俺を使うのはやめてくれ』というんです。梱包済みのものを店員さんに渡すことがそんなに大変ですかね……」
夫との衝突が増えたことで、夫婦間の溝が深まったと話すあやせさん。最近ではパートに出ることを促されているそうで、イライラしていることを打ち明けてくれた。