「裕福、高学歴、人脈」によって成り立つバンド界隈
都内の老舗ライブハウスで働く男性・Bさん(32歳)は、近年、活動を続けられているバンドマンは「裕福、高学歴、人脈がある」という3拍子そろっていると語る。
「こんなことを言うと夢がない話ですが、今の日本では『貧乏バンドマン』は、ほとんどいません。というか本当に貧乏だとバンド活動はできない、というのが正しい表現でしょう。親の金銭的サポートはもちろんのこと、界隈のコネ、自分たちをうまくセルフブランディングしていく知性も必要。言葉を選ばずに言えば、裕福で高学歴で、人脈がある子が勝つんです」(Bさん)
Bさんによれば、こうした「人脈」は、都心部の場合、すでに高校時代から作られるのだという。
「たとえば有名な高校や大学には、部活やサークルといったタテとヨコの繋がりがあります。たとえば都内の学校の子たちだと、音楽レーベルや事務所の関係者が、早い段階で目をつけている場合も多い。もっといえば、有力な先輩たちにパイプがあったりもする。
そこに家庭の金銭面の安定や両親の肩書き、たとえばマスコミにいるとかいう要素が噛み合って、一部の子たちに有利な環境が自然とできあがっているんです。もちろん、良いバンドは現場で正当に評価されることもありますが、『良い音楽なら売れる!』というような、完全に平等な世界ではないですからね」(Bさん)
昨今では、若い頃から注目を集めるバンドのメンバーは、そもそも恵まれた環境にあるケースが多いという。貧乏バンドマンが成り上がってビッグになっていくというシナリオは、もう過去のものになりつつあるのか──。