コンテンツを追い切れず「オタク」として自責の念も
K-POPというジャンルならではの理由でファンを辞めた人もいる。女性・Bさん(34歳/ネット広告勤務)は、年齢的な問題が大きかったと振り返る。
「K-POPはとにかく日本のアイドルに比べて、コンテンツ供給量が尋常ではないんです。MV動画、ダンス動画、チッケム(個人動画)、バラエティ形式のコンテンツ動画、各種SNSでの発信、ファンクラブ会員限定のライブ配信、課金制のメッセージが届くアプリなど、本当にコンテンツが多い。私はオタクとしての自負があったので、一つも逃さないように必死で追いかけてきました。
こうしたコンテンツ供給の多さは韓国アイドルの魅力でもあり、ファンが離れていかないための運営側の工夫でもあると思います。ただ、仕事が忙しくなると、物理的にすべてをチェックできなくなってくる。そうすると、自責の念に駆られて、だんだんと申し訳ない気持ちになってくる。『弱いオタク』になっているような気がして、それもプライドが許さなくて……」(Bさん)
次第に、応援することに疲れてしまったというBさん。そんな彼女が「ペン卒」する大きなきっかけとなったのが、婚活だった。
「親からも、『さすがにそろそろ結婚を考えたら?』と言われて、会社の同期にもすすめられてマッチングアプリに登録したりしています。
私自身はこれまで、オタク人生を歩めば良いと思っていたのですが、オタクであることがうまくいかなくなったら、今度は『せめて結婚して“普通の人生”を送りたい』という欲が出てきてしまった。それで、吹っ切るためにペン卒したという経緯ですね。いまでは、仕事帰りにMVを見たり、SNSの投稿をゆるっとチェックするくらいの、浅いファンに移行中です」(Bさん)
アイドルやアーティストを応援することが人生の生きがいになっている人も少なくないだろうが、自分のキャパシティを超えて推し活を続けるのは難しい。特に、コンテンツが豊富なK-POPの場合、すべてを網羅することが難しくなり、「ペン卒」せざるを得ない人たちもいるようだ。