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年金が4月から年額1.4万円の“実質減額” マクロ経済スライドに加え2021年に仕込まれた新たな「年金減額ルール」がシレッと発動

 老後の生活保障である年金は、物価が上げれば、支給額が同じ上昇率で引き上げられなければ生活は苦しくなる。そのため、年金には物価に合わせて支給額を改定する「物価スライド」という仕組みがある。

 現在の年金支給額は厚生年金(標準世帯)が「月額22万4482円」。2023年の平均物価上昇率は「3.2%」だから、年金もそれに合わせて7183円(3.2%分)引き上げられなければ生活水準を維持できない。

 それに対して実際の引き上げ額は6001円。本来加算すべき金額より月額1182円(年間1万4184円)も足りない。実質減額になる。

 同様に計算すると国民年金も1人年間4500円の実質減額なのだ。

 政府は年金生活者に「不足分は生活を切り詰めろ」と突きつけているのである。だが、すでに年金生活者はギリギリまで切り詰めている。総務省の「家計調査」でそれがはっきりわかる。

 65歳以上の夫婦2人の年金生活世帯が1か月にかかった消費支出は2023年が平均約25万1000円。物価上昇で前年よりなんと1万4000円も増えた。

 年金などの手取り月収(可処分所得)は平均約21万3000円だから、赤字の約3万8000円は毎月貯金などを取り崩して生活に充てたことになる。その赤字幅も前年から大きく増え、貯蓄は先細るばかりだ。経済ジャーナリスト・荻原博子氏が怒る。

「年金生活者は高騰する電気代を抑えるために冬は暖房、夏も冷房をつけずに我慢し、ガス代を節約するためにお風呂は3~4日に1回とか、そんな生活で出費を抑えている。そのうえ4月から年金が年間1万4000円も実質的に減額される。

 貯金を取り崩しながら乾いた雑巾を絞るように生活している高齢者にとって決して小さな金額ではありません。ほかに削るとすれば、お盆と正月にやってくる孫へのお小遣いを1万円から5000円に減らすとか、そういうことまでしなければならないんです」

 現実は「バブル期並みの高水準」どころではないのだ。

次のページ:2021年に仕込んでいた「年金減額ルール」
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