大学生には、社会に簡単に適応できる学生とそうでない学生がいます。前者はほんの一握りでしょう。ほとんどは、社会と折り合いをつけるために、何かしら悩みを抱えており、スムーズに社会を渡り歩いているとは思えません。
ただし、社会に適応できないといっても、そのタイプは様々で、少なくとも、ドロップアウトした「落ちこぼれ」だけで一括りにすることはできません。他にも、社会からシャットアウトされた「浮きこぼれ」や、世間の荒波に揉まれノックアウトされた「吹きこぼれ」が存在しているのです。
こぼれた彼らは、何より本人が不幸なわけですが、そのことが社会にも悪影響や損失をもたらすようなら、大学は人材輩出機関ではなく人材「排出」機関です。
※『ファスト・カレッジ』(小学館新書)より一部抜粋・再構成
【プロフィール】
高部大問(たかべ・だいもん)/1986年、淡路島生まれ。慶應義塾大学、中国留学を経てリクルートに就職。その後、多摩大学の事務職員に転身。1年間の育休経験も踏まえ、教育現場のリアルを執筆・講演活動などで発信している。著書『ドリーム・ハラスメント』(イースト・プレス)は新聞・雑誌・ラジオ・TVで幅広く取り上げられ、海外版も刊行された。