初心者から上級者まで楽しめるバッティングセンター。「バッセン」とも呼ばれ、野球ファンに愛される施設だが、その数は着実に減っている。昨年、現存する中では日本最古と呼ばれた東京・大塚のバッティングセンターが58年の歴史に幕を閉じた。後継者不足の問題などもあり、全国各地でバッティングセンターが続々と閉店する現状に、ファンからは嘆きの声も聞こえてくる。
「野球への興味の薄れ」を感じる
IT企業勤務の30代男性・Aさんは、実家近くの思い出が詰まったバッティングセンターが閉店したことを受け、「寂しいですね」と名残惜しさを口にする。
「小さい頃は父親と、学生時代には仲間と通いました。帰省する度に、だんだんさびれているのは感じていましたが、そうした扱いになっても、地元の友人から『話題になる試合があると利用者が増える』という話を聞いていただけに、閉店はショックでした」
地元だけでなく、Aさんが住む街のバッティングセンターも閉店。Aさんは野球ファンの一人として、閉店の流れが続いている状況に、「野球への興味の薄れ」を感じているという。
「私個人は、父親が野球好きでテレビ中継を見ている家で育ったことから、野球との接点が生まれました。本格的に野球をしたわけではありませんが、娯楽としてキャッチボールや野球に親しんできたので、バッティングセンターがなくなるのは残念です。ただ、バッティングセンターって、野球に興味がない人からすれば、なかなかハードルが高い場所ですよね。野球に関心がある人が減っていることも閉店の要因なのかもしれません」(Aさん)
実際、野球人口は減少している。笹川スポーツ財団の「スポーツライフに関する調査報告書」によると、年1回以上の「野球」推計人口(20歳以上)は、2000年は597万人だったが、2022年には268万人に減少している。野球人口は実に約20年で半減したことになる。
10代の年1回以上の「野球」推計人口の落ち込みも深刻だ。同財団の「子ども・青少年のスポーツライフに関する調査報告書」によれば、2001年は269万人から2021年に137万人まで減った。2023年には大谷翔平の活躍もあって、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝、その効果で野球人気復活を期待する声もあるが、大きく落ち込んだ野球人口が以前のような水準まで回復するのは現実的に難しいだろう。このまま野球人口が減少し続ければ、バッティングセンターの閉店ラッシュにさらに拍車がかかることも予想される。