新学期が目前に迫っているが、小学校の新入生たちのために用意される「ランドセル」の市場が、少子化のなかで活況を呈している。平均購入価格の上昇とともに、市場規模が膨らんでいるというのだ。ただ、そうした活況が、子供たちの学校生活に思わぬ影響を及ぼしているとの指摘も出てきた――。
ランドセル商戦がここ数年活況だ。ニッセイ基礎研究所の調査によると、少子化のなかでランドセル市場は拡大し、2023年の市場規模は10年前と比べて3割増の563億円に達した。平均購入価格は10年前から1.89万円増の5.85万円になっている。
ひとりっ子が増えたことで子供1人にかけられる予算が膨らみ、平均価格を押し上げたものとみられている。馬の臀部(お尻)の皮である「コードバン」を使った最高級のランドセルになると30万~40万円といった価格になるという。
その一方、3月に入って作業服でお馴染みのワークマンがランドセル市場への参入を発表したことも話題となった。平均購入価格が上昇するなか、ワークマンは今夏に定価8800円のランドセルを発売予定で、ナイロン製の低価格・高機能を魅力に打ち出す。
様々な素材が登場しているだけでなく、一昔前は男子が黒で女子は赤が当たり前だった「色」も多様化が進んでいる。結果、両親や祖父母の「ランドセル選び」の熱も高まり「ラン活」という言葉まで生まれた。メーカーによっては1月に翌年4月の新入生向け新作モデルを発表したり、展示会を開いたりするところもある。子供が幼稚園の年中の段階から予約が始まるわけだが、人気のブランドなら4~5月に売り切れるものもあるという。