貯蓄から投資へ──国を挙げた資産所得倍増計画のもと、1月からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)。いまや成人の5人に1人が利用しており、その追い風となるかのように、日経平均株価は「バブル超え」を記録、市場は大いに沸いた。しかし、金融機関在籍中にファイナンシャルプランナー資格を取得した飯村久美さん(51才)は、いまの投資ブームを「やや過熱しすぎ」と、冷静な目で分析する。
「いまは証券会社に『新NISAください!』と駆け込んでくる人がいるほど。“始めさえすれば必ず儲かる”と思い込んでいる人が多い印象です。
誰でも投資がしやすい環境になったのは素晴らしいことですが、“投資には元本保証がない”ということを理解していただきたいと思います。安易にブームに乗って必要生活費まで投資に回すのはとても危険です。
いまが投資を始めるベストタイミングかどうかは“神のみぞ知る”。その上でこれから始めたいなら、できる限りリスクを減らしましょう」(飯村さん・以下同)
新NISAでは年240万円まで個別株などにも投資できる「成長投資枠」も拡充されたため、欲をかいて大金を個別株に投資した人が、大きな損をする可能性が危惧されている。
「リスクを減らすには『長期・分散・積立』の投資のルールを守り、つみたて投資枠で買った投資信託を長期で運用するべきです。
長期で運用すれば、仮に“○○ショック”で株価が下がることがあっても、いずれ持ち直す可能性も。時間を分散して投資することで、高値掴みを避けやすくなります。
また、投資は欲との闘いでもある。毎月自動的に買いつける設定にしておけば、株価の上下に振り回されてまだ上がるのではと買いすぎたり、こんなに下がるなんて怖いと狼狽売りしてしまうことも避けられます」