マネー

【相続登記の申請義務化スタート】9割を占める「相続税がかからない人」ほど要注意 過料10万円を払わされるリスク

4月1日から変わった「相続登記」の手続きフローチャート

4月1日から変わった「相続登記」の手続きフローチャート(週刊ポスト2024年4月12・19日号より)

縁もゆかりもない土地に違反金を科されることも?

 相続登記に際しては、不動産の固定資産税評価額の0.4%を登録免許税として納める必要がある。評価額2000万円なら8万円。評価額は亡くなった親宛てに届いている「固定資産税の納税通知書」で確認できる。

 ただし、「親が不動産を所有していれば、必ず『固定資産税の課税明細』が届くというわけではないので、注意が必要」と木下氏は指摘する。

「地方の山林など、固定資産税課税標準額が一定額より低い土地の場合は固定資産税が課税されないこともある。その場合、固定資産税課税明細が届きません。また、親が共有不動産を所有していた場合であっても、共有不動産に関する固定資産税課税明細は代表者にしか届かないため、親が代表者でなければ把握することができません。そういうケースでは子が親の所有する不動産を把握しにくい。相続登記の手続きにも漏れが起きやすくなるので要注意です」

 相続登記は“不動産を相続取得したことを知ってから3年以内に行なう”という規定になっている。そのため、親が知らないところに不動産を持っていて、子が相続したことを知らなければ義務は発生しないように思えるが、不動産の所有を簡単に調べられる新制度もこれから始まる予定だ。木下氏は「新制度を使い、相続する可能性のある不動産を見逃さないことも大切」だと言う。

「2026年4月までに開始予定の新制度『所有不動産記録証明制度(仮称)』は、亡くなった親などが不動産を所有していたかを全国的に調べられる制度です。この制度を活用すれば簡単に親の所有不動産が見つかる可能性が高くなります。制度の開始後は、積極的に活用して、親が不動産を所有していたかを把握するように努めるといいでしょう」

 縁もゆかりもない土地の相続登記違反として10万円の過料を科されないためにも、新制度の理解を深め、適切に対応していくことが重要だ。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。