「境界線」でトラブルに
千葉在住のDさんは、母親から「お父さんが残した50坪の駐車場を売れば、相続税は払えるから」と言われていたが、いざ母親が亡くなると問題が発生した。隣接する家の塀が境界線をはみ出していたのだ。Dさんが言う。
「境界を画定させる測量に100万円単位のお金がかかるとか、法務局の筆界特定制度を使ったうえで場合によっては裁判が必要になるとか、母が亡くなって初めて知りました。相続税の納付期限の10か月以内では終わりそうにない作業です」
こうした問題は親の生前に対処すべきだった。前出・吉澤氏が言う。
「Dさんは母親に一定の資産があって相続税が発生するケースだったので、母親が生前にお金をかけて測量して境界を画定していれば、かかった費用の分、遺産が圧縮されて相続税対策にもなった。親が元気なうちなら時間をかけて解決できるし、親は隣家と顔見知りなので話し合いもしやすい。親の死後に顔も知らない子が出てきても、話はスムーズに進みません」
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