「日経平均株価4万円超え」「バブル超えの株高」──メディアでは連日“好景気”が報じられているが、果たしてそれを実感できている人がどれだけいるだろうか。そもそも、株価だけがいくら上がっても、物価は上がるばかりで、肝心の賃金が上がらない。こんな状況では、庶民が豊かさを実感できるはずはない。
円安が進めばさらなる物価高の懸念
株価のことよりも、家計に直結する「物価」のほうが気になるという人も多いだろう。いまの物価高の背景には、急激な円安によって輸入物価や輸送費、そのためのエネルギー資源の価格が高騰したことなどがある。
そこに追い打ちをかけるのが、今後「1ドル=160円」まで円安が進むという見立てだ。
賃金を上げられないまま金利が上昇し円安が進めば、銀行への利払いに加えて原料高も抱えた多くの企業が、少しでも利益を出そうと再度値上げを試みる可能性がある。そうすれば、私たち消費者は「もっと貧乏になる」かもしれない。ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんはこう指摘する。
「ドル円相場は、いつ160円を超えてもおかしくないでしょう。一方で、為替レートはアメリカの金融政策に左右される部分が大きい。アメリカは日本とは反対に、今年2、3回は利下げするとみられているので、日米の金利差が縮小し、むしろ円高傾向になる可能性もあります。
とはいえ、為替レートが直接物価に影響することは少ないので、円高になったからといってすぐに物価高がおさまるわけではない。事実、昨年の140円台のときも、年初の145円台のときも、物価は変わりませんでした」
大きな経済的変動が起きているいま、手をこまねいていると「貧乏なまま」でいるばかりか「もっと貧乏」に落ちていくことになる。