依存症にも遺伝的な影響がある可能性
『言ってはいけない 残酷すぎる真実』をはじめとした遺伝関連の著作が多い作家の橘玲さんは「重い精神疾患」に注目する。
「軽度なうつ傾向などはそれほどでもありませんが、行動遺伝学では極端な性質ほど遺伝率が高くなるとされます。統合失調症や双極性障害、発達障害の一種である自閉スペクトラム症などの遺伝率は7~8割になるという研究もあります」
最近はロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(29才)の元通訳・水原一平氏(39才)のギャンブル依存症が話題となったが、橘さんは依存症も遺伝の影響を受けると指摘する。
「病歴のない親から生まれた子がアルコール依存症の親の養子に入ったケースと、アルコール依存症の親から生まれた子が病歴のない親の養子に入ったケースを比較した『養子研究』では、遺伝的な親の影響がはるかに強かった。ギャンブル依存症や薬物依存症も同様に、かなり遺伝的影響があると考えられます」
ただし、遺伝ですべてが決まってしまうわけではもちろんない。特に肥満型かやせ型かなどの体質面はいまだ研究途上だ。
「特定の遺伝子があると太るとの研究もありますが、肥満体が多い南太平洋などで行われた研究なので信憑性が低く、現状、『肥満遺伝子』が存在するとは言い切れない。血圧や生活習慣病もいくつもの遺伝子の掛け合わせによって決まるので、特定の遺伝子が関係するわけではありません」(石浦さん)
(第2回に続く)
※女性セブン2024年4月18日号