興味や感心を幅広く持つことも大事
事象として目の前に現れた業績数値の変化からその背景と今後を正確に予測するためには、その根拠となる判断材料をどれだけ持っているかが重要になります。
僕は新聞を読むことをとても大事にしています。今や情報そのものはネットでいくらでも手に入るし、速報性の面では新聞を代表とする紙のメディアはまるで役に立たなくなりました。ですが、逆にネットの場合は紙面や時間の制約がなく情報が垂れ流しになっているので、どれが本当に重要なことなのかを自分で判断する必要に迫られます。
その点、新聞は1日に一度読むだけで、編集者がこれは記事にすべきだと考えた重要な情報を網羅的に受け取ることができます。この「受け取る」という感覚が実は大切で、能動的に何かの情報を得ようとすると、どうしてもそこには個人の趣味嗜好が入って観測範囲が偏りがちになってしまいます。
投資家という生き物は、薄く広くいろいろなことに通じていることが価値になるので、新聞のように総花的な情報を受動的に与えてくれるメディアは実に相性がよいのです。
情報収集のスタイルは人によってそれぞれあると思いますが、いずれにしても幅広い情報や価値観に触れておき、ひとつでも多くの事象に対して答えを導き出せるようにしておくことが、投資家としてのあるべき姿といえるのではないでしょうか。
※片山晃・小松原周/著『改訂版 勝つ投資 負けない投資』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋して再構成
【プロフィール】
片山晃(かたやま・あきら)/株式会社レッドマジック代表取締役社長。ペンネーム:五月(ごがつ)。専門学校中退後の4年間をネットゲーム廃人として過ごした後、22歳で株式投資に出合い、2005年5月からの7年半で65万円の投資額を12億円まで増やした。2013年に運用会社レオス・キャピタルワークスに入社、1年間の機関投資家業務を経験し再独立。現在の総資産は150億円で、企業買収やヘッジファンドの設立、累計50件以上のスタートアップ投資など活動の幅を広げている。北海道に競走馬の生産牧場を持つ馬主としても知られる。