「画像処理」に特化した半導体設計会社
昨年12月4日、エヌビディアの最高経営責任者(CEO)が来日すると、岸田文雄首相は首相官邸に招いて「生成AIに必要なGPUをできるだけ多く供給してほしい」と頼み込んだ。
この時、革ジャンを着た東洋人が岸田首相とにこやかに握手していた。東京・赤坂の「じゃんがらラーメン」をこよなく愛する台湾生まれタイ育ちの米国人。エヌビディアの創業者、ジェンスン・フアン(黄仁勳)だ。
今やオープンAI創業者のサム・アルトマンと並ぶ「AIの顔」である。
1963年に台湾の台南市で生まれたフアンは、子供の頃、両親に連れられてタイに渡った。
フアンの両親は二人の息子を米国に送り込む。フアンは中学からケンタッキー州の寄宿学校に入学した。フアンは学費稼ぎと英語の習得、内気な性格の克服の一石三鳥を狙って地元のデニーズでウエイターとして働いた。
オレゴン州ポートランドの公立高校に進み、オレゴン州立大学で電気工学を学ぶ。最初に就職したのは当時まだ珍しかったファブレス(設計専門)の半導体会社・LSIロジックで、エンジニアとして働いた。その後、CPUを設計するアドバンスト・マイクロ・デバイセズ社に移り、在職中にスタンフォード大学で電気工学の修士号を取得した。
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