ビジネス

TSMCバブルに沸く熊本“台湾タウン”に潜入 「台湾人管理職の年収は2350万円」「残業しない日本人のシワ寄せが台湾人に」

TSMCの工場ができて現地はどう変化したのか

TSMCの工場ができて現地はどう変化したのか

 日本で最も半導体バブルに沸く熊本──。キャベツ畑が広がるエリアにそびえ立つ世界最大の半導体メーカー「TSMC(台湾積体電路製造)」の巨大工場は、地域に何をもたらしたのか。中国在住経験のあるジャーナリストの西谷格氏が現地をリポートする。

 * * *
 熊本市東端に位置する市営団地の一角に、一際新しい3階建ての瀟洒な低層マンションが並んでいる。今年2月に稼働を開始したTSMC熊本工場の従業員が住む4棟の社宅だ。日中、出入りしているのは30代の身綺麗な女性や小さな子供たち。一見、よくある郊外の日常風景だが、彼ら台湾人の経済力はケタ違いである。4月から長男が小学生になるという30代の住人女性に中国語で話を聞いた。

「昨夏、夫とともに本社のある新竹(シンジュー)から来ました。日本は台湾より物価が安いのでとても暮らしやすいです。携帯の電波が少々弱いことと病院の待ち時間が長いこと以外、困ることはありません」

 管理職という夫の年収についても、濁しながら教えてくれた。

「500万台湾ドル(約2350万円)ぐらいかな。日本での駐在を打診された際、それまでの2倍近い給与を提示されました。台湾ドルと日本円の両方で受け取っていて、比率は自由に選べます。今は円安なので、7:3の比率で台湾ドルを多めに受け取っています」

 彼女の雰囲気からは経済的余裕が感じられる。

「長男は今月開校した『九州ルーテル学院インターナショナル小学部』に通わせることにしました。熊本は空気が美味しいし広々しているので、子育ての環境としてはとても良いです。マンションが驚くほど安いので、購入を検討しています」

 同校は入学金30万円、学費は年間100万円を超える私立校で、TSMCの進出で台湾から来た駐在員の子供を受け入れようと今年度、開校した。主に英語で授業を行なうそうで、世界レベルの人材の子弟が通うには申し分なさそうだ。

次のページ:不動産や建設、ホテル業を中心に“TSMCバブル”
関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。